【図解利用例付き】戦略フレームワーク9選を実際のケース面接での使用例と共に完全図解!

コンサルティングファームの面接試験で課されるケース面接。

ケース面接では『フレームワーク』と呼ばれる『考え方の枠組み』を抑えておくことで、網羅的に構造を捉えることや、面接官に自分の考えをクリアに伝えることができます。

一方、フレームワークに対するそもそもの考え方や使い方を間違えてしまうと、むしろ考えが凝り固まってしまい、面接官から悪い印象を持たれかねません。

そこで、本記事ではケース面接でよく利用されるフレームワークを、その使い方や注意点と共にご紹介いたします。

フレームワークとは

フレームワークとは冒頭でも触れた通り、『考え方の枠組み』や『物事の切り口』のことを指します。 一部の内定者や社員の間では『型』と呼ばれることもあります。

ロジカルシンキングで重要になるのは物事を構造的に捉えることですが、構造化の切り口は無数に存在し、ケース面接で最も重要になるのは『複数の切り口で多面的に物事を捉えた上で、最終的に適切な切り口で構造化できているか』という点です。

そこで、フレームワークと呼ばれるような『よく利用される切り口』を事前にストックしておくことで、当日のケース面接においてもストラクチャーを構築する一助とすることができます。

フレームワークの使い方

では、フレームワークはどのように使えば良いのでしょうか?

フレームワークの使い方は主に2種類あります。

  1. 現状分析から仮説を出すために用いる
  2. 自分の持つ仮説をトップダウンで網羅的かつ構造的にデリバリーするために用いる

ここではそれぞれについて解説していきます。

現状分析から仮説を出すために用いる

1つ目は現状分析で利用する場合です。

ケース面接では仮説をもとに議論を進めていくこと(=仮説思考)が求められるため、仮説を導き出すまでのスピードやその精度が重要になります。

一方、ケース面接に慣れていない方は『お題を聞いてもすぐに仮説が思いつかない』ということも多々あると思います。実際に内定者でもお題を聞いてすぐにインサイトフルな仮説が出せないということはよくあることです。

このような場合にフレームワークを用いて現状を網羅的かつ構造的に洗い出すことで、何らかの初期仮説を打ち出すという使い方があります。

自分の持つ仮説をトップダウンで網羅的かつ構造的に整理するために用いる

2つ目は仮説出しの後のストラクチャー構築に利用する場合です。

上でも触れた通り、ケース面接ではまず仮説出しがポイントになりますが、その次には『その仮説が全体の構造化の中でどこに位置するのか?』を整理する必要があります。

このフェーズでフレームワークを用いて整理を行うことで、全体の構造をMECEに構築することができ、面接官にもトップダウンで綺麗にデリバリーすることができます

フレームワークを使う時の注意点

フレームワークを使う際に気をつけなくてはならないのが、『はじめから特定のフレームワークを用いようとするのではなく、お題に合わせて適切なフレームワークを選ぶ必要がある』ということです。

フレームワークは『物事の切り口』 のことですから、逆に言うとフレームワークを用いることで物事を特定の1つの切り口からしか見ることができなくなってしまいます

ストラクチャーの構築で大事なのは『適切な切り口で』構造化することです。そのことを忘れ、闇雲にフレームワークを用いようとしてしまうと、本質的課題が綺麗に抽出できなくなってしまうので注意しましょう。

紹介するフレームワークの全体像

個々のフレームワークの紹介に入る前に、本記事で紹介するフレームワークを『利用頻度』『マクロ/ミクロ分析』の2軸で整理します。

まずは利用頻度の高いものから抑え、慣れてきたらその他のフレームワークも使えるようにしていきましょう。

フレームワークの全体像
図 フレームワークの全体像

ここからは必ずで抑えたいフレームワークと、できれば抑えておきたいフレームワークに分けて、その利用例とともに紹介していきます!

必ず抑えたいフレームワーク5選

3C分析

【概要】

3C分析とは、自社およびそれを取り巻く環境を『Customer(市場)』『Competitor(競合)』『Company(自社)』に分けて分析する手法です。ケース面接では最もよく使われると言っても過言ではないフレームワークです。

3C分析
図 3C分析

特に外部環境である市場と競合の分析からクライアント企業や業界の課題に関する仮説を出すといった使い方をされることが多いです。

自社の分析に関しては、クライアントのポジショニングやアセットが特殊な場合など、状況に応じて適宜分析を行うのが良いでしょう。

【ケースでの利用例:フードデリバリーの売上向上施策】

3C分析の利用例として、ここでは『シェア1位のフードデリバリープラットフォームの売上向上施策』について考えます。(参考:【図解解説付き】ケース面接の解法ステップとポイントを例題を用いて分かりやすく解説)

ここでは3C分析で市場・競合・自社についての現状分析を行うことによって、『クライアントは新たな市場の開拓を進め、高いマーケットシェアを活かしたコストリーダーシップ戦略を取るべきではないか?』という初期仮説を導き出すという使い方をしています。

3C分析の利用例
図 3C分析の利用例

アンゾフの成長マトリクス

【概要】

アンゾフの成長マトリクスとは経営学者イゴール・アンゾフによって提唱された、事業の成長戦略を考える際に用いられるフレームワークです。

アンゾフの成長マトリクスでは、成長戦略を『製品』と『市場』を2軸としてそれぞれ新規/既存に分け、2×2のマトリクスで分類します。ここでの『製品』とは広義にサービスも含むので、もちろん製造業以外にも応用可能です。

アンゾフの成長マトリクス
図 アンゾフの成長マトリクス
  • 既存市場 × 既存製品:市場浸透戦略
    既存のターゲット層に対して既存製品をさらに投入してくことで、売り上げやシェアを伸ばしていくという、最もオーソドックスな戦略です。
  • 既存市場 × 新規製品:製品開発戦略
    既存のターゲット層に対して新製品や新サービスをリリースしていくことによって、既存顧客のアップセル・クロスセルを狙っていく戦略です。
    新製品を提案する場合には自社の既存製品との顧客の奪い合い、すなわちカーニバリゼーションが起こらないかは十分に検討しましょう。
  • 新規市場 × 既存製品:市場開拓戦略
    新しいターゲット層に対して自社の既存製品を投入していく戦略です。いわゆる顧客層の拡大ですね。この戦略では『どの層をターゲットにするか?』『その顧客層が自社製品を買っていない理由はなぜか?』を深掘って考えていく必要があります。
  • 新規市場 × 新規製品:多角化戦略
    自社の強みやアセットを活かし、新しい市場に対して新しい製品を展開していく戦略です。時間的・金銭的コストが大きい分、リスクも大きくなります。実際の事例としては、デジタルカメラの製造メーカーが医療機器に参入するといった戦略が見られますね。

ケース面接では、既存市場のポテンシャルが飽和しきっている時、すなわち既存市場 × 既存製品でのアップサイドが難しい場合にこのマトリクスがよく用いられます。

【ケースでの利用例:フードデリバリーの売上向上施策】

3C分析と同じフードデリバリーのお題における利用例を紹介します。

ここでは『既存市場である若年層のポテンシャルは飽和しているため、クライアントは新規市場として中高齢者層の開拓を進めていくべきである』という仮説を構造的に説明するためにアンゾフの成長マトリクスを用いています。

アンゾフの成長マトリクスの利用例
図 アンゾフの成長マトリクスの利用例

SWOT分析

SWOT分析とは事業環境を『Strength(自社の強み)』『Weakness(自社の弱み)』『Opportunity(機会)』『Threat(脅威)』の4つに分けて分析する手法で、『内部要因/外部要因』『プラス要因/マイナス要因』という2軸のマトリクス構造で表します。

SWOT分析
図 SWOT分析

ケース面接では、WeaknessとThreatから課題仮説を導き出し、StrengthとOpportunityから成長戦略を描くといった用いられ方が多いです。

【ケースでの利用例:スーツメーカーの売上向上施策】

SWOT分析の例として『シェア1位スーツメーカーの売上向上施策』を考えます。

ここでは初期仮説を出すためにSWOT分析を用いており、SWOTの4項目を網羅的に検討した上で、『自社のアセットを活かしてtoBのビジネスウェア市場(企業や学校の制服)へ参入していくべきである』という仮説を導き出しています。

SWOT分析の利用例
図 SWOT分析の利用例

因数分解

【概要】

少しフレームワークという言葉の定義からはズレますが、売上をフェルミ推定のように一つのファクターを細かく分解する因数分解もオーソドックスな手法です。『客数 × 客単価』のように掛け算で分解されることが多いですが、『toB + toC』のように足し算による分解がされることもあります。

因数分解
図 因数分解

ケース面接では、ターゲットとする層を明確にしたり、アプローチするファクターを明確にする目的で因数分解が用いられることが多いです。

【ケースでの利用例:フードデリバリーの売上向上施策】

3C分析やアンゾフの成長マトリクスでも取り上げたフードデリバリープラットフォームの売上向上施策を例として考えます。

ここでは『中食の中でもフードデリバリープラットフォームを利用する割合を増やしていくべきである』という仮説が全体の構造の中でどこに位置するのかをトップダウンでデリバリーするため、売上を因数分解し、『プラットフォーム型選択率』がうまく抽出されるように構造化しています。

因数分解の利用例
図 因数分解の利用例

AIDMA

【概要】

AIDMAとは消費者の購買決定フローを『Attention(注目・認知)』『Interest(関心)』『Desire(欲求)』『Memory(記憶)』『Action(行動)』の5つに分解するフレームワークです。AIDMAよりも粒度感は粗いですが、『認知』『魅力』『ハードル』のように分解する場合もあります。

顧客の購買フローをファネル分析していくことで『どのフェーズがボトルネックになっているのか』を特定します。

ケース面接では、AIDMAによる分解から示唆を出すというより、自分の持つ仮説を購買フローの側面から整理してデリバリーする際に用いられることが多いです。

AIDMA
図 AIDMA

【ケースでの利用例:スマートウォッチの売上向上施策】

今回は『スマートウォッチの売上向上施策』を例にAIDMAの利用例を解説します。(参考:【MBB内定者の解説付き】戦略コンサルの面接で出題されるケース面接の厳選問題集 〜基礎編〜)

ここでは『利用したことがないために良さが分からないということがネックとなって顧客のニーズを喚起できていないのではないか』という仮説を、AIDMAを使った顧客の購買フローから構造的に説明しています。

AIDMAの利用例
図 AIDMAの利用例

できれば抑えておきたいフレームワーク4選

PPM分析

【概要】

PPM分析とは『Product Portfolio Management』の略称で、1970年代にBCGが提唱したフレームワークです。

PPM分析では『市場の成長率』と『市場の占有率』の2軸で自社の事業やプロダクトを以下の4つに分類し、経営資源の投資配分を判断します。

PPM分析
図 PPM分析
  • 花形(Star)
    市場の成長率も占有率も高い事業・プロダクトです。
    市場の成長率が高いが故に競争も激しいですが、マーケットシェアは高いため積極的な投資により将来的な利益創出を狙います。
  • 金のなる木(Cash Cow)
    市場の成長率は低い一方で、市場の占有率は高い事業・プロダクトです。
    成長が穏やかなため新たな競合の参入などが少ない上に自社のマーケットシェアが高いため、積極的な投資をせずとも安定的に利益を獲得することができます。
    一方、市場に対する将来的な期待は大きくないため、ここで獲得した利益を他の事業へ充てることによって事業拡大を狙っていく必要があります。
  • 問題児(Problem Child)
    市場の成長率が高いにも関わらず、自社のマーケットシェアを取れていない事業・プロダクトです。
    利益が出しづらい上に、競争が激しく、積極的な投資が必要になりますが、市場の成長率は高いため、自社の勝ち筋を見つけることができれば花形や金のなる木に移行できる可能性は十分にあります。
  • 負け犬(Dog)
    市場の成長率が低い上、自社のマーケットシェアも低い事業・プロダクトです。
    基本的にここに分類される事業やプロダクトは将来的な利益につながりづらいため、早期な撤退の検討を行うとともに、成長の見込みがある事業へ経営資源を投資していく必要があります。

PPM分析は、コングロマリット企業をクライアントとした成長戦略立案系のケース面接で、注力すべき事業を絞り込む場合に用いられることが多いです。また、PPM分析に似たフレームワークとして、参入市場を決定するにあたって『市場の魅力度』と『競合優位性』の2軸から絞るという場合もあります。

【ケースでの利用例:総合電機メーカーの成長戦略】

今回は『総合電機メーカーの成長戦略』をテーマにPPM分析の利用例を紹介します。

ここで、クライアントは

  • AV機器事業
  • スマートフォン事業
  • ゲーム事業
  • 音楽配信事業
  • 金融事業

の主に5事業からポートフォリオを形成しています。

ここでは上記の事業を市場の成長率と占有率から4つのセグメントに分類し、『AV機器事業やスマートフォン事業といった製造業からは撤退し、収益性の見込まれるエンターテイメント事業(音楽配信・ゲーム)に注力すべき』という仮説を導いています。

PPM分析の利用例
図 PPM分析の利用例

PEST分析

【概要】

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を『Politics(政治)』『Economy(経済)』『Society(社会)』『Technology(技術)』の4つの側面から分析するフレームワークです。

これまで紹介したフレームワークとは異なり、政治や経済といった公共要素を含む切り口でマクロトレンドを分類するのが特徴的です。

PEST分析
図 PEST分析

【ケースでの利用例:大手航空会社の成長戦略】

PEST分析の利用例を紹介するにあたって、今回は『大手航空会社の成長戦略』というお題について考えます。

ここではSWOT分析を用いてクライアントを取り巻く外部環境を網羅的に整理することで、『(旅客の需要が戻るまでの)足許は空輸事業で売上を確保し、将来的に戻ってくるであろうインバウンド顧客に向けた路線拡大を行うべき』という仮説を立てています。

PEST分析の利用例
図 PEST分析の利用例

CAGE分析

【概要】

CAGE分析とは、海外への事業展開を考える際に自国と他国の『隔たり』を理解するために用いられるフレームワークです。CAGE分析では他国との隔たりを『Cultual(文化的)』『Administrative(政治的)』『Geographical(地理的)』『Economic(経済的)』の4つの視点から分析します。

CAGE分析
図 CAGE分析

他国との隔たりを網羅的に整理することで、『どこに進出するか』や『進出先でどういった戦略を取るべきか』、『進出にあたりどういったリスクが考えられるか』といった、海外進出における重要な論点に対して答えを出します。

ケース面接では、海外進出系のテーマが与えられた際に論点を網羅的に整理するためにCAGE分析が用いられることが多いです。

【ケースでの利用例:大手製菓メーカーが海外進出における論点設計】

『大手製菓メーカーが海外進出をするにあたって検討すべき論点を検討せよ』というテーマのお題をもとに、CAGE分析の利用例を紹介します。

ここでは論点を網羅的に幅出しするために外部環境分析にCAGE分析を用いています。ここから重要になるであろう論点に絞り込んでディスカッションしていくと良いでしょう。

CAGE分析の利用例
図 CAGE分析の利用例

4P分析

【概要】

4P分析とはマーケティング施策におけるフレームワークの1種で、製品やサービスを『Product(製品・サービス)』『Price(価格)』『Place(販売チャネル)』『Promotion(販促活動)』の4つの側面から分析する手法です。

4P分析
図 4P分析

ケース面接では、自社のシェアを上げていくにあたっての顧客の購買基準(KBF=Key Buying Factor)を網羅的に幅出しをして整理する際に4P分析を用いることが多いです。

【ケースでの利用例:高級チョコレートの売上向上施策】

今回は百貨店などにテナントとして入っているような高級チョコレート企業の売上向上施策を例として4P分析を利用してみます。

ここでは『日常利用の中でも『プチ贅沢市場』への参入すべき』という上流での市場の絞り込みの次に、中流〜下流の議論として『参入にあたっての課題が販売チャネルの不足である』という仮説を説明するために4P分析を利用しています。

4P分析の利用例
図 4P分析の利用例

本記事ではケース面接でよく使うフレームワークを利用例をご紹介しました。

1つ1つのフレームワークを抑え、実際のケース面接で実践してみることで更なるレベルアップを図りましょう。

Reverseでは、マンツーマンで行うケース面接対策サービスをご提供しております。
ケース面接対策を通してトップティアの戦略コンサルティングファーム入社を目指すのは勿論、その後の経営層への基礎思考力育成を目指しております。

期間限定で、

新卒・中途の方向けに米系トップティア戦略ファームメンターによる初回カウンセリングが無料

でお試しいただけるので、気になる方はぜひページ上部のサービス紹介ページ、または公式LINEよりお問い合わせください

また、現在公式LINE追加してくれた方全員に『解説ポイント付きケース問題集』を配布しております。もちろん公式LINE追加は無料ですので、ぜひご利用くださいませ。

MBBメンター ベンチャー企業での就業後に、MBB含む複数の戦略コンサルティングファーム内定。 現在は経営系の大学院所属。 21年よりメンター活動を行なっており、これまで新卒・中途合わせて100名以上を担当。 「短期的なテクニックにとらわれずに、長期的に活きる思考力向上を一緒に目指しましょう。」 *名前は仮名です。