コンサルティングファームの面接で出題されるケース面接。
本記事ではケース面接の中でもパブリック系の問題を厳選して取り扱います。
Reverseでメンターを行なっているMBB内定者・現役社員の解説付きでご紹介しています。
以前は会員様限定で取り扱っていた内容も含まれており、有料級のコンテンツとなっています。
また、そもそもケース面接の解き方などをよく知らないという方は、先に下の記事を先にご覧になることをお勧め致します!
本記事で紹介する解説はあくまで一例です。ケース問題に正解はありません。なので受験勉強のように答えを求めてそれを覚える、という学習方法は適しません。基本的には自分の頭で考えるということが非常に重要となります。
本記事では一定の思考の型を解説しているので、書いてあることをもとに仮説や論理を付け加えて、自分なりの回答を作るように心がけましょう。
そして、解説を見る前に必ず一度ご自身で回答を作ってみましょう!
思考時間の目安は1問あたり3分です。
それでは早速始めていきましょう!
目次
ケース面接におけるパブリックケースの位置付け
ケース面接は主に以下の3種類に分けられます。
基本はビジネス系が出題されることが多いのですが、パブリック系も出題されることがあります。
実際に戦略ファームも公共系の案件を扱っており、ケース面接に限らず入社してからも接する機会があります。
ビジネスケースについては、戦略コンサルに限らず、学問的にも、また一般のビジネス書にも扱われやすいテーマであるため、一定の型や知識で補える部分も大きいです。
一方でパブリック系はビジネス系ほど共通したフレームワークや戦略がなく、テーラーメイドな思考が必要となり、対策しにくいと思われている方も多いと思います。
本記事では、そのようなパブリック系のケースに対して、図解を用いながらどのようにアプローチしていくのかを徹底解説していきます。
*ビジネス系の解説付き問題集はこちら
【MBB内定者の解説付き】戦略コンサルの面接で出題されるケース面接の厳選問題集 〜基礎編〜
【ケース面接厳選問題集】問題1:介護士不足を解決するには?
まずは3分程度時間を取って、実際に頭と手を使って考えてみてください!
それでは、解説していきます!
前提
パブリック系といえども、大枠の考える順番はビジネス系と共通しています。
まずは前提確認から進めていきます。
パブリック系はクライアントによって最上段の目的、そして実行できる施策が大きく異なるので、最低限クライアントがどこかということは明確にしておきましょう。
今回は以下のように前提を定めました。
- クライアントは政府 (厚生労働省)
- 期間は2030年ごろまで。
- ここでいう介護士とは、有資格者の介護士を指すこととし、自宅などで無資格で自主的に行なっている介護は含まれないものとする。
回答
まず本問題にどうアプローチしていくかを考えます。
今回の課題は『不足している』ということです。
この『不足している』という課題が発生する原因としては、需要量に対して供給量が足りていないということです。
そのため、施策立案のために需要側と供給側での現状を攫います。
・需要側
介護が必要となる割合を減らせるかもしれないが、高齢化に伴い絶対数の増加は避けられない
・供給側
供給が足りていない原因として、全体の数がそもそも足りていない場合と、全体としては数は足りているが、都市と地方などの供給量の配置バランスが取れていないことが考えられる。
しかし、少子化の流れなどを考えると、より大きな問題としてはそもそもの介護士全体が少ないことにあると考える。
という仮説から『介護士全体数の不足』という課題にフォーカスします。
*ここで言う介護士の全体数とは、アクティブな介護士の合計を指すこととします。
具体的な施策に落とし込むために、『介護士全体数増加』をさらに深掘りしていきます。
今回はストックとフローの考え方から、そもそもの流入を増やすのか離脱を減らすのかの二方向から考えていきました。
- 離職の原因は
介護士に占める女性の割合が高く、そのような女性職員が結婚や子育てを原因に離職する
個々の介護施設の理由(人間関係など)
など、致し方無いようなものがメインと考えられる。
- 介護では高い日本語レベルが必要なため、外国人をメインの人材として期待することは難しい。
- 既に資格を保持しているが、育休や個人の事情などで現在活動していない人々が多く存在しているであろう。そういった方々は子育てなどが一区切りついた時点での再雇用のニーズがありそう。
と言う仮説をもとに、『日本人の既に介護資格を保持しているが、現在はアクティブではない方々の需要掘り起こしによる再雇用増加』という施策に絞り込みました。
需要掘り起こしの具体例として添えるならば、金銭的に再雇用のインセンティブを設けたり、非正規雇用によるフレキシブルな雇用制度などが挙げられます。
類似お題
- 待機児童数を減らすには?
ポイント:今回と同じ切り口で課題を整理してみましょう。 - キャッシュレス決済を普及させるには?
ポイント:消費者と店舗の鶏と卵の問題なので、どちらから攻めるか、またその上でボトルネックになっているセグメントを考えてみましょう。
【ケース面接厳選問題集】問題2:交通事故を減らすには?
続いてのお題は『交通事故を減らすには?」です。
考えなければいけない要素が多くありますが、仮説をもとに重要な要素に絞り込んでいきましょう。
こちらも3分程度時間を取って考えてみましょう。
では、解説を始めていきます!
前提確認
先ほどと同様に、まずはクラアントの明確化、そしてその他にスコープが広いものは定義しておきます。
- このお題についてもクライアントは日本政府とする(国土交通省)
- 陸で発生する交通事故に絞って考える
回答
まず、この問題のアプローチを考えます。
交通事故の具体的な発生要因をいくつか考えてみると、例えば
- よそ見運転
- 運転のしづらい道路や、激しい交通量
- 歩行者の信号点滅での危険な横断
などが考えられます。これらを元に交通事故におけるアクターを整理すると以下のようになります。
アクターの洗い出しは抜け漏れが発生しやすいので、具体的に想像して登場するものを洗い出し、一定の括りで分類すると抜け漏れが出にくくなります。
今回であれば、人・人が操縦するもの・それらが動く環境という3つの分類の意味で
人的・機械的・設備的
に分類して列挙しました。
これらの分類に応じて、おおよその対応策なども決められてきます。
人的な部分については、飲酒運転を厳しく取り締まる法令や、運転手・歩行者共に講習などが行われており、その上で発生してしまう事故は個人の任意な行動で一定確率生じてしまうものです。
機械的な部分については、自動車の性能は企業の競争により常に向上しており、また必要な性能も法的に担保されていると考えられます。
設備的な部分については、案内機器(信号やカーブミラー、看板など)の精度や数については十分に普及していそうですが、一方で車道や歩道については、十分に区分けが行われていなかったり、道が細かったりなどでまだまだ課題が残っていそうです。
このうち、日本では歩道単体や車道単体はかなり改修が進んでいる一方で、自転車専用レーンというものはほとんど普及していません。
そのため、自転車 対 歩行者、自転車 対 自動車の双方で交通事故が発生していそうです。
そこで、施策としては
『事故発生確率が高いエリアから優先的に自転車専用レーンの整備』
を提案します。
類似お題
- 銃による犯罪件数を減らすには?
ポイント:銃保有撤廃を考えがちですが、銃保有が現在も許可されている理由を考えてみましょう。
コラム 「その課題は本当に解決されていない?」 ケース面接でよくありがちな事として 「考えている課題が浅く、納得感がなかなか出せない」 ということがあります。 複数の施策を出そうする方などに特に見かけます。 そんな方は、先に納得できるレベルまで深さを優先しましょう。 世の中の課題は、企業や行政が基本的には解決していきます。 そのため、すぐに思い付く課題は解決されている場合が多いです。 なんとなく解決されていない課題が思いついたら、それからすぐに対応する施策を言うのではなくて、その課題がなぜまだ残っているのか、「why so?」を考えてみましょう。 そのようにご自身でwhy soで深掘っていくと、より課題の解像度が高くなりそれに伴い施策の粒度も上がります。 そして、深いレベルの仮説を立てて問題を一度解いた後は、必ずファクトを集めて自身の仮説を修正しましょう。 仮説はこれまで触れてきた情報や経験をもとに作られるため、自身が知らない範囲については仮説は往々にして外れます。 この仮説を立てる→検証して修正するというループを回す事で、だんだんと初期仮説の精度が上がっていきます!
【ケース面接厳選問題集】問題3:バスケットボールの競技人口を増やすには?
日本でのバスケットボール競技人口は、2016年をピークに減少しています。
一方で他のスポーツでは競技人口が増えているものもあります。
そのようなスポーツとの差分なども考えてみましょう。
まずは思考時間3分程度で考えてみてください。
前提確認
- クライアントは日本バスケットボール協会
- 長期的な施策を求められており、タイムスパンは6年程度と考える
- 競技人口の定義としては、プロアマを問わずバスケットボールの試合に年に一回は参加する人口とする
回答
先ずは本問題へのアプローチ方法を考えます。
スポーツの競技者をボトムアップ的に考えていくと、プロ選手、クラブチームでプレーする選手、学生の部活動、そして遊戯としてプレーする人が考えられます。
これらを整理すると、競技へのコミット度合いで構造化することができます。
ここで他のスポーツを例にとって考えてみたいのですが、野球やサッカーは学生の競技人口も多いですし、プロリーグへの注目度も高いです。
一方で、バスケットボールは学生の部活動として行う人は多い方ですが、プロリーグへの注目度は野球・サッカーと比較するとかなり低いです。
部活動でバスケットボールに注力しても、プロ選手の間口が小さくかつアップサイドもないとなるとバスケットボールを学生以降も続ける人が減り、そうするとプロ選手の層も薄くなりさらに注目が減りというループになってしまいます。
つまり、プロリーグの市場規模拡大を行うことで逆の好循環を生み出すことができると考えます。
では続けてプロリーグ活性化をどうするかを更に深掘って行きます。
プロリーグの構図は以下の通りです。
*実際にケースを解くときはここまでの図は過剰ですが、少なくとも金銭的なやりとりがどうなっているかの構図は明確化しておきましょう。
プロリーグの活性化は、結局はそこに流れ込む金額の増加が重要です。
収益のメインは3つあり、スポンサー料、放映権、ファンのダイレクト課金です。
この三つのファクターのうち、スポンサー料や放映権の値段は結局はどれだけファンが存在するかに依存します。
そのため、このファンをどうやったら増やせるかという論点に絞り込みます。
バスケットボールの試合を観に来るファンの来場目的と、潜在顧客数の2軸で考えた際に今後拡大していくべきはエンタメ要素です。
そのため、よりエンタメ層を獲得するために具体的な施策としては、ファミリー層向けのボックスシート、ハーフタイムショーの充実化、会場内の電子パネルの充実化などとなります。
類似お題
- 女子ソフトボールのプレイヤー数を増やすには?
ポイント:バスケットボールよりもかなりニッチな競技です。構造化は類似して考えられるので、どこからアプローチするべきかを考えてみましょう。
【ケース面接厳選問題集】問題4:日本人の英会話力を上げるには?
日本人の英会話力が低いのは長らくある問題ですよね。
施策も多く実施されていますが、未だ抜本的な解決はなされていないです。
そのあたりの原因なども考えつつ解いてみてください。
それでは早速解説していきます!
前提
このテーマについては目的として様々な可能性があり、それにより方向性が大きく変わるので、背景にある目的を定めておきましょう。
- クライアント:文部科学省
- スパン:5年程度
- ここで言う英会話力とは、英語の中でもSpeakingとListening能力を指すものとする。
- 背景にある目的:日本人全体のベースとなる英会話能力を上げ、外国人受け入れや国際競争力を築きたい。
回答
本問題についても先ほどのバスケットボールの競技人口の増加と同様、時系列が非常に重要であると考えられます。
そのため、まず現在の英会話力向上のために行われている事を、属性とシーンごとに整理します。
シーンは、仕事・学校・習い事といった学習機会と、友人・同僚といった他人との会話などの日常利用機会の2シーンで分けます。
英会話の重要性の認知は十分にされているため、学習機会は充実しています。
義務に近いような場面は、職場や義務教育、また任意でも習い事として英会話教室が展開されています。
一方で、日常利用機会は殆どありません。
つまり、学習機会はあるものの日常利用機会が少ないために結局英会話を使わないから身につかない、という現象が起きていると考えます。
一方でフィリピンやシンガポールなどでは、英会話の学習機会に加えて、仕事や日常生活において英会話を利用するために英会話力が向上しています。
では、施策の方向性として、英会話の学習機会における仕組みの改善か、英会話を日常的に利用する機会を増やすかの2通りが考えられます。
結論として、前者の英会話の学習機会における仕組みの改善を取ります。
もちろん英会話を日常的に利用する環境を作ることができればかなりのインパクトが見込めそうですが、
- 労働者としての英語話者増加については、現状英語話者が非常に少ない環境のため、他に多くの英語圏かつ経済水準が高い国々が存在する中で、そのハードルを越える以上の魅力を作るのは困難
- 労働者以外の単に居住者としての英語話者については移民などが考えられるが、島国のためこちらもハードルが高くあまり期待できない
などの理由から、実行可能性がかなり低いです。
一方で英会話学習機会にいおける仕組み改善についてはどうでしょうか?
例えば数学などは日常で利用する機会は正直あまりありません。
一方で数学の学力の平均値は、英会話力の平均値と比較するとかなり高そうです。
つまり、学習機会における仕組みの改善の余地が非常に高いと考えられます。
では最後に、英会話学習機会において、どの段階でどう改善するかを深掘っていきます。
まずどの段階でかについては
- 幼少期以降は年齢を重ねるほど学習効率が低下する
- 目的が全国民のベースとなる英会話力向上であるため、義務教育段階からアプローチしたい
- 受験制度の一斉変更よりも、テストにおいて段階的に実力向上を図る方がインパクト・実行可能性の両面で優れていそう
から、小・中学校のテストの段階にアプローチする事とします。
そして、そこの仕組みをどう改善するかについてですが、現在は英会話力を評価するテストが存在しません。その主な理由として考えられるのが、英語教師が非英語ネイティブの日本人である割合が高いために、英会話力評価測定のケイパビリティが教育機関にない事です。
そのため、今回の施策を
「小・中学高の定期テストにおいて、外部システムを用いた英会話力測定の科目を導入する」
とします。
類似お題
- 日本の国際的な競争力を上げるには?
ポイント:まずは問題の定義から行いましょう。そして循環するファクターの中でどこから着手すれば良いのかの仮説を立てましょう。 - 投票率を上げるには?
ポイント:セグメントごとの投票率などを考えてみましょう。
終わりに
ケース面接厳選問題集〜パブリック編〜は以上となります!
基礎的でありながらも、学びの多い問題を中心にピックアップしました。
ビジネス系よりも取り組みにくい印象を持たれる方が多い一方で、本質はビジネス系もパブリック系も共通しており対策を積むことで十分に実力向上が見込めます。
しかし、ただ1人で問題演習をしても実力は向上しません。
適切なFBを受け、自身の仮説の筋や論点設計を修正していく事で実力が向上して行きます。
そこでReverseでは、マンツーマンで行うケース対策サービスをご提供しております。
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